【育児休業の延長・変更】「育児休業期間変更申出書」っていつ使う?
「育休、1歳までの予定だったけど、保育所の空きがなかったから、後6カ月延ばしたい!」
「1歳では保育所には入れなかったけど、4月には入所できるかも。育休はいつまですればいいの?」
これって育児休業の延長?それとも変更?紛らわしいですよね。
もし、育児休業期間の変更が必要な事態になっても、焦らず手続きできるように、事例を挙げて説明していきます。
ちなみに、「育休」には「育児休業」と「育児休暇」とがあり、混同されがちなので気をつけてください。詳しくは以下の記事でも伝えています。
「育児休暇」とは?「育児休業」とは?混同されがちな「育休」について教えます
今回の記事では、育休でも「育児休業」の話です。
「育児休業期間変更申出書」とは
「育児休業期間変更申出書」とは、その名の通り、育児休業の期間を変更するときに使うのですが、育児休業には「延長」と「変更」があります。
あなたが申請しようとしている事由が「延長」になるのか「変更」になるのかで、使う書類が違ってきます。具体的に例を挙げて見ていきましょう。
事例1:育児休業の「延長」
例えば、Aさんは、子どもが1歳になるまで育児休業を予定していたとします。
しかし、保育所の空きがなかった場合にどうすれば良いか考えてみましょう。
子どもが1歳に達する日の2週間前までに、勤務先に下記の書類を提出します。
- 育児休業申出書
- 保育所に入れなかったことを証明する書類(入園申込書・不承諾通知書など)
- 育児休業給付金支給申請書
↓
Aさんの勤務先を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)によって1歳6カ月まで育児休業が延長決定
保育所に入所できなかったため、育児休業を1歳までから1歳6カ月までに延長することは「変更」ではなく、「延長」になります。
しかし、「育児休業を取得しなおす」ということになり、必要書類は上記のように「育児休業申出書」等になるのです。
なお、「保育所に入所できなかった」という要件は保育所に入所する希望日がその子どもの1歳の誕生日より前である必要があります。
近年、保育所への入所申し込み手続きが遅れたことで、育児休業を延長できない例が増えているそうです。
知人のNさんも、初めての育児で忙しくしているうちに、保育所の入所申し込み期限を調べるのが遅くなり、子どもが1歳までの申込期限を過ぎてしまいました。
年度の途中での入所は難しく、基本的には4月入所を目指すことになりますが、4月の申込の前に、子どもの誕生日よりも前の入所希望の申込をしなければならないことを忘れていたそうです。
復職を希望していたのに、入所可能性の高い4月まで育児休業を延長できず、泣く泣く退職することになってしまったのです。
保育所の申し込み締め切り日を事前によく確認しておきましょう。
事例2:育児休業期間の終了日を早めたい
事例1のAさんの例で、続きを見てみましょう。
その後、Aさんの子どもが入れる保育所が見つかった。
「育児休業が終了する1歳6ヶ月を待たずに復帰したい!」
↓
Aさんの勤務先に下記の書類を提出
- 育児休業期間変更申出書
これは「育児休業終了日の繰り上げ(終了日を早める)」に当たり、法令で定められてはいません。
もし、Aさんが育児休業中の要員として別の人が採用されていた場合、その人が不利益を被る場合もあるためです。
会社によっては、別の部署に配属を変えて対応する、などしてくれることもありますので、Aさんと会社でよく話し合って決めることが重要です。
事例3:育児休業開始日を早めたい
子どもが出産予定日よりも早く生まれた。
「育児休業の開始日は変更できる?」
↓
勤務先に下記の書類を提出
- 育児休業期間変更申出書
これは「育児休業開始日の繰り上げ(開始日を早める)」にあたり、法令で「早産等、特別な事情が生じた場合、1回に限り」変更が認められています。変更後の育児休業開始日の1週間前までに申し出なければなりません。
ママは8週間の産後休業の後の育児休暇になるので、申し出期間は間に合いますが、仮にパパが出産日から育児休業取得予定だった場合、希望の日からは取れないかもしれません。
事業主は、変更申出日の翌日から数えて、1週間以内の日を、変更後の休業開始日として指定できます。引継ぎ期間もなく、急に休まれてしまうと、会社も困りますものね。
希望の日よりは遅れるかもしれませんが、1週間以内には育児休業を開始できるということですね。
「1週間ぐらいなら気にしないでもいいかな~」と思ったあなた!油断してはいけません。
仮に一人目の出産の場合はママが入院、パパは仕事。もしかしたら、ご家族に産後のお手伝いをお願いできるかもしれませんね。
でも、二人目の出産だったら?
出産が急に早まった場合、上の子の面倒はだれが見るのか?
保育所や幼稚園への送り迎え、もう少し大きいお子さんだと、習い事の送り迎えもしなければいけないかもしれません。
加えて、毎日の家事や、入院しているママに着替えを運んだり(不要な場合もあります)、退院してくるママと赤ちゃんのためにお部屋をきれいにして整えておいたり…。
出産日が早まった場合に備えて、頼める方はご家族に早めに来てもらったり、一時的に上の子を預けられるところを探して置いたり、生まれる前に、ママとパパでよく相談して決めておいた方が安心ですね。
外部のサポートを受けたい場合は、こちらの記事の後半にご紹介していますので、必要な方はご覧くださいね。
事例4:育児休業期間の延長と終了日の繰り上げ
子どもの1歳の誕生日が1月下旬だったとします。育児休業は原則1歳までですが、保育所に入れなかったとしますね。
でも、4月には入所できるかもしれない。この場合はどうしたら良いのでしょうか。
案1:育児休業期間の延長と終了日の繰り下げを行う
育児休業期間を4月まで延長
↓
- 育児休業申出書
保育所に入所できなかった場合に、7月まで育児休業を繰り下げる
↓
- 育児休業期間変更申出書
育児休業の終了日の繰り下げ(終了日を遅くする)は特に理由がなくても、子どもが1歳になるまで、1歳~1歳6カ月になるまで、1歳6ヶ月~2歳になるまで、それぞれの期間で1回まで認められています。
2週間前までに申し出ることが必要です。
「育児休業期間の変更」となるのは、育児休業を「延長(子どもが1歳6カ月になるまで)」または「再延長(子どもが2歳になるまで)」した人が、何らかの理由で休業期間を変更したい時であり、「育児休業期間変更申出書」を提出することになります。
案2:育児休業期間の延長をしてから終了日を繰り上げる
育児休業を1歳6ヶ月まで延長する
↓
- 育児休業申出書
保育所に入所できたら育児休業の終了日を繰り上げる
↓
- 育児休業期間変更申出書
これは事例2と同じように「育児休業終了日の繰り上げ(終了日を早める)」に当たりますので、認められるかを会社と事前によく確認しておいた方が良いでしょう。
就業規則に明記されている可能性もあるので、あわせて確認しましょう。
育児休業期間の延長の時に使うのは?
育児休業(原則、子どもが1歳になるまで期間)を取得する時には、「育児休業申出書」を勤務先に提出します。
また、保育所に入れない、などの理由がある場合、育児休業期間を1歳6カ月まで(または2歳まで)「延長」する時にも使用します。
これは、1歳まで(または1歳6カ月まで)育児休業をしていた人だけができる申出であって、最初に育児休業の取得を申請するときから「1歳6カ月(または2歳)」までの期間を選べるわけではありません。
期間は延長されますが、再度育児休業を取得するという考え方なので、必要な書類は「育児休業申出書」です。
育児休業中に行うことになるので、勤め先から送付してもらい、記入して送り返す、という流れになります。
書類の他に、事業主が認める場合はFAX、電子メールなどでも可能です。
「育児休業期間変更申出書」を使う時は?
「育児休業期間変更申出書」は育児休業期間の延長以外で使用すると考えると良いでしょう。
- 育児休業の開始日の繰り上げ(開始日を早める)
- 育児休業の終了日の繰り下げ(終了日を遅くする)(1歳まで、1歳~1歳6カ月、1歳6カ月~2歳のそれぞれの期間で1回のみ認められる)
- 育児休業の開始日の繰り下げ(開始日を遅くする)
- 育児休業の終了日の繰り上げ(終了日を早くする)
「育児休業申出書」「育児休業期間変更申出書」等の社内文書の例はこちらに記載されています。
厚生労働省|就業規則における育児・介護休業等の取扱い(PDF)
まとめ
育児休業期間を子どもが1歳→1歳6カ月、もしくは1歳6カ月→2歳に延長するのは、新たに育児休業を取得と考えるので「育児休業申出書」。
それ以外は「育児休業変更申出書」を使用します。
育児休業の延長を希望していても、保育所への入所希望日が1歳以降だとできません。
くれぐれも事前に保育所に申し込み日等(4月入所を希望する場合は申し込みは前年度の10月~11月)を確認しておくようにしましょう。
産後で大変な時期に、育児休業の変更が必要になると、さらに頭が混乱しますよね。
育児休業の延長や変更はとてもややこしく、会社によって独自の規定がある場合もあるので、会社の上司の方や育児休業申出の担当者の方とよく話し合って決めましょう。