育児ストレスでやけ食いが止まらない!そのメカニズムと対処法とは
慣れない育児、忙しい家事。
更に昨今はコロナ渦で外出しにくいことなども、育児ストレスのやり場のなさに拍車をかけています。
そんな中ストレスを手早くやっつける方法として、どうしても「食べる」という手段に頼ってしまいがちですよね。
しかし、やけ食い・ドカ食いはその場しのぎにしかならず、むしろ包括的に見ればストレスを増長してしまう危険もあるのです。
止まらないやけ食い、そろそろなんとかしたいですよね。
そのために知っておくべきやけ食いのメカニズムや危険性、その対処法をご紹介していきます!
ストレスが溜まるとやけ食いしてしまうメカニズム
そもそも、やけ食いという現象はどうして起こっているのでしょうか?
やけ食いに悩む多くの人は「ストレスが溜まると、なんとなく食欲が止まらない」と感じているでしょう。
しかしストレスとやけ食いの間には、深い因果関係があるのです。
ストレスと食欲の関係
通常、人間の脳は「レプチン」というホルモンの働きで適切に食欲を抑制しています。
しかし人は強いストレスを感じている時、それに対抗するため「コルチゾール」という別のホルモンが分泌されます。
これがいわゆる「ストレスホルモン」で、このコルチゾールとレプチンは相関関係にあることがわかっています。
つまりストレスを感じるとコルチゾールが増え、相対的にレプチンが減ることによって食欲に抑制が効かなくなるのです。
歯止めの利かない異常な食欲の正体は、ホルモンバランスの影響だったんですね。
なぜ食べるとストレスが和らぐのか?
そして、人は食事をすると「セロトニン」といういわゆる幸せホルモンが分泌されます。
それにより、一時的に「なんだかストレスが吹っ飛んだような感覚」になるわけです。
これこそが、食べるという行為がストレスを手っ取り早く一時的に抑えるのに一役買っているメカニズム。
そして、この手っ取り早く得られる快楽にはある種の依存性があります。
「なぜかわからないけど、イライラすると暴食が止まらない!」
そんな現象には、きちんとした仕組みがあったのです。
やけ食いの先に潜む危険
ストレス発散の方法としてやけ食いが危険な理由として、やけ食い自体が健康状態の悪化に直接影響するのはもちろんですが、
行為自体に「罪悪感」を伴い、別の健康被害が出てくるケースが多いという事です。
美意識の高い女性は特に体系の変化に対する恐れが強く、食べること自体に罪悪感をおぼえがち。
そのため暴飲暴食の後、罪悪感から「食べたものを意図的に吐いてしまう」というケースがあります。
そして、食べたものを吐くという行為、実は繰り返すと「クセになってしまう」のです。
実はここには「摂食障害」という病が潜んでおり、これこそが、やけ食い最大の危険だと言えるでしょう。
摂食障害とはいわゆる「過食」や「拒食」がそれにあたり、多くは「太ることへの恐怖心」から引き起こされます。
過食や拒食を繰り返すうちに、ひどい場合は成人でも30㎏代まで体重が落ちるなど、生命の維持に危険を及ぼすことさえあります。
暴飲暴食→罪悪感で吐く→常態化する→繰り返すうちに摂食障害
というわけです。
そうなると抜け出すのは非常に難しく、最悪入院や通院を繰り返し点滴で栄養を摂ることになってしまいます。
やけ食いには実は考えている以上に大きなリスクが潜んでいることは、もっと知られるべきでしょう。
事がこれ以上重大になってしまう前に、対処法をこれからご紹介しますので是非参考にしてみて下さい!
ストレスの根本に向き合う「ストレスコーピング」とは
先述したとおり、やけ食いが止まらないのはストレスを受けて分泌されるコルチゾールという物質が正常な食欲のメカニズムを阻害するからでした。
つまりこのコルチゾールの分泌を抑えれば、正常な食欲に戻り、やけ食いは収まるということ。
「どうやってやけ食いをやめるか」を考えるには、「そもそもやけ食いを誘発するストレスにどう対処するか」と考える必要があるのです。
そうしてストレスに向き合い、適切に対処していこうという考え方を「ストレスコーピング」といいます。
ストレスコーピングには2通りの方法がありますので、詳しくご説明していきましょう。
まずはストレスの原因を探ろう
「ストレスの原因と言ったって、家事や育児のストレスに決まってるじゃない」
そう思うかも知れませんが、ここでもう一歩踏み込んでみて下さい。
「家事や育児の中でも特にやけ食いの引き金になっているストレスは何だろう?」
「日常の中で特にストレスを感じる瞬間はいつだろう?」
つまり、そこに対処することにフォーカスしていこうということです。
そう考えると、意外と自分で気が付いていなかったストレスの本質に気付けるもの。
これが、ストレスコーピングの出発点なのです。
当たり前のように感じるかもしれませんが、原因を掘り下げて根本に迫ることは案外見落としがちなのではないでしょうか?
問題を取り除く「問題焦点コーピング」
私のことを例に挙げながらご説明していきますね。
私はストレスが頭痛を呼ぶタイプで、特に上の子が1歳になる頃は何も手につかないほど一日中ガンガンと痛むことがありました。
色々な薬を試したり、病院にも行ってみましたが治ることはありませんでした。
しかしその引き金になっている原因を掘り下げてみると、実は私は洗い物がとにかく嫌で仕方がなかったのです。
子供の離乳食が本格化してきて洗い物が増えたことも、また子供の食器は別の洗剤で洗っていたことも大きな要因でした。
そこで思い切って食洗器を購入、そして割り切って全て同じ洗剤で洗ってみると、これがどんな薬を飲むよりも効いたのです。
というより頭痛の原因を取り除くことでそもそも頭痛がおこりにくくなったんですね。
そしてこれこそが最も基本的なストレスコーピングで、「問題焦点コーピング」といいます。
つまり原因を掘り下げ、それをそもそも取り除こうという試みがこれにあたるのです。
原因を掘り下げたうえで、取り除ける原因は極力取り除く。
これが最も効果的な改善策と言えるでしょう。
情動焦点コーピング
例えば子供がスプーンやフォークを上手に使えるようになるまでは、かなり悪戦苦闘すると思います。
うちの子も何度スプーンを持たせても、素手で掴んでは撒き散らしたり、顔中米粒だらけにして、食事の時間が近付くこと自体がストレスでした。
しかしある時、実家で父に私が幼少期の頃の写真を見せられたことで、全てが変わりました。
そこに写っていたのは、なんと顔中米粒だらけで何故かドヤ顔の私自身。
そしてそれを見て、家族皆で大笑い。その時、とても暖かい空気が家族を包みました。
「この子もいつか笑いものにしてやればいいんだ」。
そう考えた私は次の日から顔面ぐっちょぐちょの子供の写真を撮りまくりました。
すると食事の時間を案外楽しんでいる自分に気が付いたのです。
これこそが「情動焦点コーピング」と言われる手法。
「ストレスの原因が取り除けない場合は、ストレスの見方を変える」ということです。
例えば自転車が壊れたとき「たまには運動するいい機会ね」と考え散歩を楽しむようなことが、これにあたります。
私のケースのように「将来いい笑い話になる」と考えて積極的に記録に残したりするのは本当におすすめですよ!
コーピングリストを作ろう!
しかし、当然これで全てが解決するというわけではありません。
それに、これらではカバー出来ない領域の問題もあります。
例えば「取り除けない原因で、かつ前向きに捉えるのも限界がある」ようなストレス。
例えば、毎晩夜泣きで起こされて寝不足が辛いといった場合に起こるストレスは私にとってはこれでした。
特に育児のストレスは決してゼロにはなりません。
問題の原因を取り除き、極力前向きに思考を転換したうえで、更に残ったストレスには別の方法で対処しなければなならいのです。
そのために活躍してくれるのが、「コーピングリスト」。
コーピングリストとは、あなたが心落ち着くと感じること、ストレスの発散法をリスアップしたもの。
そしてストレスを感じたとき、いつでも実行できるようそばに置いておこうというものです。
つまり食事すること以外でストレスを発散しようというわけですね。
コーピングリスト作成にはいくつかのルールがあります。
- 心が落ち着いている時に作ること
- 100個以上書き出すこと
- 簡単に実現可能なものに限ること
- しまい込まずそばに置いておくこと
- 一度やってすぐに効果が出なかった項目も消さないこと
などです。
しかし一度に100個完成させなくてもかまいません。
それに、「大丈夫、いつか笑える。と口に出す」など、とっても簡単なものでも全然OK。
中には「お買い物をする」など一定の時間や行動が必要なものもあっていいですが、むしろ簡単に、すぐに出来ることが大切ですよ。
実際のコーピングリストを参考に、是非作ってみて下さい!
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それでも食べてしまうときは
とはいえ、そうそう急にはきれいさっぱりとやけ食いが消えるとは限りません。
特にやけ食いが習慣化してしまっている場合は、ある程度長い目で見ていかなければならないでしょう。
次は、無理なく少しずつやけ食いから脱却するための方法をご紹介します。
ポイントは、精神を安定させてくれる幸せホルモンセロトニンをやけ食い以外で分泌してあげることです。
食べるものを変える
衝動的に食べたくなるのは、甘いお菓子や脂っこい揚げ物などが多いのではないでしょうか。
実はセロトニンは、甘いものや脂っこいものを食べるとより一層たくさん分泌されるのです。
それもまた、やけ食いが健康に悪影響を及ぼしたり罪悪感を助長しやすい一因となっています。
しかし、ここで考え方をぐるっと変えてみましょう。
「セロトニンを作る食べ物で健康に良いものを選べば、健康への悪影響も罪悪感もぐっと抑えられる」
そう考えることもできます。
- バナナ
- ナッツ類
- アーモンドミルク
- カカオ75%以上のブラックチョコレート
- 大豆製品
上記のようなものが、セロトニンを生成する材料となる「トリプトファン」が豊富なうえ、健康にも良い食べ物としておすすめです。
特に大豆製品は産後に失われがちなエストロゲンを補ってくれたり、ナッツ類は美容にも良いのが嬉しいところ。
またチョコレートに含まれるポリフェノールにはリラックス効果がありますし、暖かいアーモンドミルクは眠れない夜にもおすすめです。
ただしもちろん、食べるものが何であっても食べ過ぎは良くありませんのでご注意下さい!
そもそも、大切なのはストレスを解消して食欲を正常に戻すことでしたよね。
ここを解決の着地点としてしまわないよう気を付けましょう!
食事以外でもセロトニンは作れる
実はセロトニンをはじめ幸せホルモンの分泌を促す方法は食事だけではありません。
家にこもりがちな生活でも外に出て朝日を浴びる、
室内でもいいのでYoutubeのエクササイズ動画などに合わせて時々運動する、
他にも気分がノったり癒しを感じる音楽をかけておくなど、方法は様々です。
音楽を聴くだけなら家事をしながらでもオムツを換えながらでも出来るので、マンネリ防止にも良いですよ!
まとめ
放っておくと意外なほど怖いやけ食い。
今回は、そのメカニズムと対処法をご紹介してきました。
最悪のケースにまで進行してしまう前に、しっかり対策を打って卒業しておきましょうね。
せっかく子供が大きくなっても、そのためにあなたが健康を失ってしまっていては意味がありません。
家族のためにも、やけ食いに頼らず健康に育児を乗り越えましょう!