働くママを襲う育児ハラスメント!その原因と被害にあった時の対処法
妊娠・出産を機に、職場から不当な扱いを受けたり、居心地の悪さを感じるなど、環境の変化に悩んでいませんか?
それは育児ハラスメントを受けているのかもしれません。
喜ばしいものである妊娠・出産ですが、それを理由に職場でのいじめ・嫌がらせを受けるケースは増加傾向にあります。
その背景に妊娠中・出産後も、働き続ける女性が増えたことが挙げられますが、社会の理解はまだまだ足りません。
私も出産後職場復帰しましたが、子供が熱を出して呼び出しがあると、上司から嫌味を言われた経験があります。
迷惑がかかる申し訳ない気持ちと、そこまで言わなくても…と思う気持ちが入り混じっていました。
それでも仕事にやりがいを感じ、育児と仕事をこなしていましたが、第二子妊娠をきっかけに、これ以上迷惑をかけられないと思い退職することにしました。
「家計を支えたい」「社会とのつながりを持ちたい」など、働き続けるには理由がありますし、私のように退職することは避けたいですよね。
育児にまつわるハラスメント(育児ハラスメント)はなぜ起こるのか、被害にあった場合の対処法についてお話します。
育児ハラスメントとは?
どのようなものが育児に関連したハラスメントに該当するのか、判断が難しいですよね。
厚生労働省が定めたハラスメントは、大きく分けて2種類あります。
具体例も挙げながら説明します。
ハラスメント行為
妊娠・出産または育児中に関することで嫌味・嫌がらせをすることを指します。
- 「妊婦はいつ休むかわからないから仕事を任せられない」と言われた
- 子供が熱を出して早退や欠勤になると「また?迷惑だ」と嫌味を言われた
継続的に繰り返し発言することがハラスメントに該当します。
また、言葉以外にも妊娠・育児を理由に、仕事に必要な情報を教えない・会議に参加させないこともハラスメント行為です。
不利益取り扱い
男女雇用機会均等法第9条第3項では、企業側が妊娠・出産を理由とする解雇、その他不利益取扱いを禁止しています。
不利益取り扱いとは、妊娠・出産または育児を理由に、以下のことをおこなった場合を指します。
- 契約の更新をしない、または解雇する
- 減給をし、賞与において不利益な算定をする
- 不利益な配属先に変更させる
- 強制的に自宅待機を命じる
嫌がらせだけでなく、こういった就業環境を害する行為もハラスメントに含みます。
育児ハラスメントが起きる原因
時には裁判になるほど、まだまだ対策不十分で、深刻な問題となっています。
育児ハラスメントが職場で起きてしまう原因は主に2つ挙げられます。
業務に支障がでてしまうから
妊娠期は、つわりや体調不良、切迫早産になると安静が必要になり、今までと同じように働くことは難しいですよね。
定期検診による出勤日の調整や、体調不良でやむをえず、早退や欠勤してしまうこともあると思います。
産後復職すれば時短勤務に契約変更したり、子供が体調を崩してしまうと、早退や欠勤しなくてはなりません。
私も妊娠以降、周りにフォローしてもらうことが増え、申し訳なく肩身の狭い思いをしました。
そうすると「仕事ができない」「迷惑がかかる」と発言したり態度に出る人が残念ながらいます。
育児経験がないと理解が難しい
出産や育児の経験がなくても、積極的にフォローしてくれたり、理解を示してくれる人のほうが多いです。
しかし、出産・育児経験がなかったり中高年層は「女性は家庭を守るもの」という意識が根強く、理解してもらえないことがあります。
会社でフォローできる体制づくりが必要とされていますが、浸透しておらずハラスメントが起きてしまう原因となっています。
育児ハラスメントが引き起こす問題点
育児ハラスメントが引き起こす問題点についてお話します。
昇給や昇進の機会を失う
仕事と育児を両立していくうえで、昇給や昇進が難しいキャリアコースをマミートラックといいます。
育児と仕事の両立をさせるために、残業や仕事のボリュームを減らすことを希望するママも多くいるのでデメリットばかりではありません。
しかし問題なのは、希望していないのに会社側からマミートラックに乗せられてしまい、給与が大幅に下がってしまうことです。
そのうえ業務が単調であったり、責任ある担当を任せてもらえず、やりがいを失うことも。
周りは次々にキャリアアップしていくのに、取り残されているように感じ、劣等感を抱いてしまいますよね。
職場の居心地が悪くなる
育児ハラスメントが起きることによって、被害を受けた本人だけでなく、組織のチームワークが乱れてしまうことがあります。
また、産休・育休を取得する際、円滑に業務の引き継ぎや分担がされないことや仕事量が増えたことを妊娠した人へ不満を感じてしまうようです。
解雇になってしまうことも
前述の不利益取り扱いで説明しましたが、妊娠や育児休暇を理由に、不当な解雇や退職を促されたりすることが、実際にあります。
これらを理由に解雇をすることは違法で、話し合いで解決できず裁判になることもあります。
家事育児を頑張るママが裁判なんて、心身ともに疲弊してしまいますよね。
育児ハラスメントへの対策・解決方法
育児ハラスメントの被害を受けていても、我慢して乗り越えようとする人の方が多いと思います。
おかしいと思っても、はっきりと伝えることは勇気がいりますし、会社に居づらくなると思い、言えないですよね。
では、どうやってやめさせるのか、解決方法についてお話します。
証拠を残しておく
証拠を残しておく方法として以下の方法があります。
- ハラスメントを受けた日にち・内容の日記を残しておく
- ハラスメントが原因で病院を受診した場合の診断書
- 被害があった場合にスマホやボイスレコーダーで録音しておく
日記に残しておくことは、すぐにできる証拠集めの1つですね。
社内の相談窓口へ相談する
上司や同僚で信頼できる人がいればその人に相談するのも良いですが、ハラスメントは上司や同僚から受けることが多いので、難しいと思います。
大きな企業の場合、社内相談窓口というものが設置されてることが多く、ハラスメントについてもここで相談することができます。
勤務先にあるか調べてみましょう。
ハラスメント受けた日付や内容を残しておくと、話がスムーズに進みます。
また、ハラスメント内容がどのような法律に触れるのか事前に把握しておくことでより早く対処してもらえます。
ハラスメントに関する法律は次の項目で紹介しますね。
労働局の総合労働相談コーナーを利用する
勤務先に相談窓口がない・または対応してもらえない場合は、厚生労働省の総合労働相談コーナーを利用しましょう。
労働者と会社の中間に立って解決へ導いてくれる紛争解決援助制度を利用できます。
育児ハラスメントに対する法的手段
育児ハラスメントを受けた際、守ってくれる法律は主に3つあります。
解雇されてしまった場合
男女雇用均等法第9条という法律では、女性労働者に対し、妊娠・出産・育児を理由に契約の打ち切りや解雇することは出来ないとしています。
ですので、会社側から「妊娠を理由に解雇」などという、一方的な解雇は法律で禁止されているのです。
実際に解雇された女性が、慰謝料の請求と解雇されていた期間の給与を求めて裁判し「雇い止めは無効」と判決された事例もあります。
精神的苦痛に対する慰謝料
妊娠・出産または育児に関する発言による精神的苦痛も慰謝料請求の対象です。
思い悩み体調を崩してしまったり、うつ病など発症してしまった場合は、通院や働けなくなってしまった期間の給与を求めることができます。
賃金が支払われない場合
妊娠・出産または育児の理由で減給・役職を降格をさせることも法律で禁止されています。
減給や降格の差額分を請求することができます。
最近ではハラスメントに対する判決が厳罰化されています。
不当だと思っていても、諦めてしまう人の方が多いと思います。
ですが勇気を出して相談することで、いい方向へ改善されるかもしれません。
まとめ
- 育児ハラスメントが起きる原因は主に2つ
- ハラスメントによって減給や解雇になる場合もある
- 解決策として、相談窓口を利用してみる
- ハラスメントから守る法律について
他人事と思っていたかもしれないハラスメントはどこの職場でも起きる可能性があります。
妊娠・育児が原因で働きにくくなったと感じるママは多いと思います。
勇気を出して声を上げていくことで、私たちが働きやすい社会にしていきましょう!