先輩ママの体験談!育休復帰後の時短勤務|何も知らないと大変な事になる?
育休復帰後の、働き方のプランは決まっていますか?
私の友達のYさんは、育休復帰後、子供との時間を大切にしたい、とあまり悩むことなく「時短勤務」を開始しました。
当初は、定時より2時間早く帰ると、育児や家事の時間が増えプライベートが充実し、時短勤務に満足していました。
しかし、徐々に会社での自分の仕事や、周りの同僚との関係性に疑問を抱くようになってきたそうです。
- 同僚とたわいのない話をする時間的余裕がなくなり、疎外感を感じた
- 夕方の会議などに出席できなくなり、伝達事項が回ってこないことがあった
- 「でも、早く帰らなきゃいけないでしょ。」と言われた
今までと働き方が変わってしまい、仕事への満足度が下がってしまいました。
時短勤務は、仕事と育児の両立を支援する大事な制度ですが、
残念ながら、必ずしもいい事ばかりではない、という事を知っておかなければいけません。
なんとなく「時短勤務でいいかな?」と考えているなら、事前に知っておいてほしいメリット、デメリットを紹介していきます。
すべてを知った上で、時短勤務かフルタイム勤務か決定すると後悔のない働き方が見つかると思います。
時短勤務とは
その前に、そもそも「時短勤務って何?」というところから、説明していきますね。
時短勤務は、「育児・介護休業法」によって定められた法律に基づく制度です。
一日の所定労働時間を短くして、働きながら育児をしやすくするために導入されました。
後述する要件を満たせば、全ての労働者が制度を利用できます。
「育児・介護休業法」には時短勤務以外にも働くママを助けてくれる制度があります。
転ばぬ先の杖で、是非、一度一読してみて下さい。
育児・介護休業法って何?私にも使えるの?正しく知って、最大限活用しよう!
対象となる労働者
次のすべてに該当する人が対象になります。
- 3歳に満たない子を養育する男女労働者
- 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
- 日々雇用される者でないこと
- 短時間勤務が適用される期間に現に育児休業をしていないこと
- 労使協定によって適用除外とされた労働者でないこと
5番目の「労使協定によって適用除外とされた労働者」は次の通りです。
- 勤続1年未満の労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
- 業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者
つまり、勤続年数が1年以上、週の労働が3日以上、1日の勤務が6時間以上の、3歳未満の子供を養育する労働者をさします。
上記の条件が揃えば、正職員のみではなく、契約職員も時短勤務が利用出来る可能性があります。
対象となる期間
時短勤務は、子供が3歳の誕生日を迎える前日まで、取得可能です。
法律では、3歳の誕生日を迎える前日までは義務ですが、
3歳から小学校就学前までは努力義務なので、3歳以降の時短勤務は会社の規定で決定します。
大企業など人員に余裕のある所では、「子供が小学生になるまで」「中学生になるまで」、
というところもありますが、あくまでも3歳以降は会社の裁量に任されています。
先述したYさんは時短勤務を申請した時点で、「3歳の誕生日まで」という期限を知らず、延長保育のない保育園に入園させたそうです。
ところが、3歳になった途端フルタイム勤務に戻り、慌てて延長保育のある他の園を探さなくてはならなくなりました。
折角、子供が今の保育園に馴染んできたのに、新しい園に入り直さなくてはならず、
また、保育園選びも難航し、新しい園が見つかるまで、閉園時間に間に合うように、
タクシーを使ったり、ベビーシッターにお願いしたり、と時間とお金を無駄に費やしたと言います。
時短勤務を利用する際には、時短勤務終了後を見越した保育園選びも重要になりそうです。
時短勤務の勤務形態
8時間勤務の労働者を想定して、1日6時間勤務とするのが原則です。
しかし、時短勤務の意図は「労働者が育児と仕事の両立をしやすくする」事なので、
それぞれの労働者の背景に合わせ、会社が独自に規定を設ける事が認められています。
30分単位や5時間、7時間、隔日6時間勤務などの時間の短縮や、
退社時間を早めるだけでなく、出社時間を遅くするなど多様な勤務形態があります。
通勤ラッシュ時をさける例
9時30分から16時30分
通勤ラッシュ時に子供を抱えて保育園の送迎をするのは、それだけで重労働ですよね。
通勤ラッシュを避けられるのはメリットだと思います。
隔日で時短勤務をする例
月水金曜日は定時、火木曜日は時短勤務
フルタイムは無理だけど、週の何日かは定時まで働きたいという方の例です。
このような働き方だと、フルタイムへの移行時に戸惑いが少なそうですね。
リモートワークと併用する例
決められた時間に出社し、残りは自宅勤務
リモートワークが可能な仕事であれば、決まった時間に出社し、残りの業務を自宅で行う事ができます。
業務内容によりますが、柔軟な働き方が出来るといいですね。
時短勤務中の給与
時短勤務をすると、給与はどうなるのでしょうか。
時短勤務者に対し、短くなる時間分の給与を支払うかどうかは、会社側の裁量によります。
一般的には、働いていない分の給与は支払われないようです。
賃金は労働に対する対価なので、労働時間が減ればばその対価も下がるという考えです。
また、働いていない時間分を減給としなければ、
一緒に働く同僚のモチベーションを下げかねませんし、制度に対する不公平感が生まれてしまいます。
賞与についても同様の考え方により、時短勤務中は減額されそうです。
どちらにせよ、会社の裁量に任されているので、必ず就業規則を確認して下さい。
Yさんは、時短勤務当時、
「給与が減るのは分かっていたけど、賞与も減るとは思ってなかった」
「給与がほぼ保育料に消えていき、働き損だ」と感じていたそうです。
給与も、賞与も減るとなると、年収が半分以下になる場合もあります。
時短勤務を検討する際は、減額後のお金のシミュレーションも大事になってきます。
時短勤務中の労働者を守る法律
時短勤務は法律で認められた権利です。
そのため以下のように法律で守られています。
所定外労働の制限
育児・介護休業法では、3歳未満の子供を育てる労働者は、残業免除の申請が出来ると定められています。
残業の制限は、時短勤務と併用して取得することが可能です。
時短勤務なのにも関わらず仕事が終わらず残業して、結局定時を過ぎて帰る、という事が回避できます。
周りに迷惑をかけたくないという配慮から、一度残業をしてしまうと、その後も日常化してしまう恐れがあり、
何のための時短勤務だっけ?となりかねません。
時短勤務を申請する際には、残業免除申請も同時に行うことをお勧めします。
「不利益扱いの禁止」と「ハラスメント防止」
時短勤務をする労働者に対し、法律の範囲内で、会社の規定に乗っ取り、減給や業務内容を変更することは違法ではありません。
しかし、会社側の作為で不当にこれが行われてはいけません。
会社には時短勤務を希望する労働者が不利益を被る「不利益扱いの禁止」と、「ハラスメント防止」を策定する義務があるからです。
- 「時短勤務をするなら辞めてほしい」と言われた
- 「あなたが早く帰るせいで、迷惑している」と何度も言われ精神的苦痛を感じた
これらは、「不利益扱い」や「ハラスメント」に当たります。
もしこのようなことがあれば、あなたの意志をはっきりと伝えて下さい。
「不利益扱い」や「ハラスメント」はあなたのせいではなく、会社の問題です。
育児ハラスメントについて、事前に対応など確認しておけば安心して働けますね。
是非こちらを参考にして下さい。
働くママを襲う育児ハラスメント!その原因と被害にあった時の対処法
時短勤務のメリット
時短勤務のメリットは主に次の3点です。
子供との時間が確保出来る
働く時間が短くなると、その分子供と長く一緒にいられます。
3歳未満の子供を保育園に長く預けることに不安を抱くママの気持ちは、痛いほど分かります。
子供の成長はとても早いので、それを見逃しているんじゃないかと焦る気持ちもありますよね。
やはり子供との時間は、お金では買えない価値があります。
病院、公共施設の利用が出来る時間帯に退社出来る
保育所に通う子供は、集団生活の中で感染症にかかりやすい状態です。
Yさんも、子供の鼻水が続いて困ったなと思っていたら、
案の定、保育園で熱が出て「お迎えに来て下さい!」と職場に電話がかかってくることがあったそうです。
少しでも怪しいと思ったら早い段階で、早退や、欠勤をすることなく、時間内に病院を受診出来るのも利点です。
キャリアを継続出来る
当然のことながら、勤務時間は減れども、会社に在籍し続けることで、キャリアを継続することが出来ます。
時短勤務で焦る事もあるかもしれませんが、この時期が終われば、昇進も昇格も自分次第で可能となります。
時間が限られることで、仕事の取り組み方を見直すチャンスだと考えることはできませんか?
また、時短勤務の原則通り1日6時間働き続けると、社会保険から外れることもありません。
社会保険は、会社が保険料を半分負担してくれますし、
万が一の病気やケガ、失業、年金など、あなたを助けてくれるものばかりです。
時短勤務のデメリット
次に、時短勤務のデメリットを3つ紹介します。
収入が減る
前述した通り、時短勤務をすると、一般的には給与、賞与共に減額されます。
一時的とはいえ、収入が減ると、仕事のモチベーションがさがりますし、不安にもなりますよね。
減収によって生活がどのように変化するか見極める必要がありそうです。
仕事量が減る、仕事の内容が変わる
時短勤務を利用すると、当然ながら働く時間が減るので仕事量の調節が必要になります。
時間的な配慮から、周囲の同僚に協力してもらわなければならず、場合によっては、仕事の内容や、部署が変わる可能性もあります。
Yさんも、時短勤務になったことで、仕事の内容が変わりました。
責任のある仕事より、補佐的な仕事が中心になり、「戦力外通告」されたような気分になり落ち込んだそうです。
以前のようにばりばり働きたい気持ちと、余裕をもって子育てをしたい、というジレンマを抱えていました。
肩身が狭い
会社は様々な家庭環境や、考えを持った人たちの集まりです。
早く退社する、残業を免除されるといった特別な待遇を歓迎できない人が、一定程度いる場合もあります。
Yさんは、定時より2時間早く帰るため、同僚に残りの仕事をお願いしたり、仕方なく終わらない仕事を自宅に持ち帰ったりしていました。
時間分はしっかり働いているし、減給だってされているのに、
自分のせいで誰かの仕事が増える罪悪感から、周りに対する気疲れが常にありました。
直接誰かに責められたわけではなくても、迷惑だと思われているだろう雰囲気に耐えられなかったそうです。
時短勤務をするかしないか、決めるポイント
ここからは、時短勤務のメリット、デメリットを踏まえたうえで、どちらに決定するかポイントを見ていきましょう。
夫や周りの協力が得られる環境が整っているか
夫が育児を分担してくれるか、延長保育はあるか、ベビーシッターや病児保育は使えるか、
色々な状況を想定して事前準備をしておかなければいけません。
フルタイムで以前のように働いた場合、子供の急な発熱などで休むことになると、
時短勤務で配慮されている人よりも、仕事への影響が大きくなります。
Yさんは、どうしても会社を休まなければいけない時には、
Yさんが接客の都合上、忙しい午前の時間帯を避けて午後に休み、
旦那はミーティングや業務の報告などを確認する立場上、融通の利く午前に休む、
とあらかじめ約束事を決めていたそうです。
また、ベビーシッターやファミリーサポートなどの利用においては、
いざその時が来たら、閉鎖的な空間で子供を預ける、という心理的なハードルが超えられるかという問題もあります。
病気の際の病児保育は、金額がお高めです。
病院へ連れてってくれるサービスがあるか、月会費があるか、どのような人が来るのか、
急な発熱などでも必ず利用出来るのか、確認事項が多くあります。
両親に頼む事を視野に入れるのもいいですが、風邪や感染症の時、高齢の両親にお願いするのは、両親自身の感染が心配でYさんは出来なかったそうです。
働きながらこれらすべてをクリアしていくのは、体力的にも精神的にも負担が大きいと言えます。
これらの負担を背負いながら長時間働くことに、あなた自身が耐えられるかも大事なポイントになりますね。
何を一番優先するか、もしくは我慢できないか
もし周りの環境が整っていたら、あとはあなたが何を一番優先したいかで決めて下さい。
優先順位をつけるのが難しいなら、あなたの性格上何に我慢できないかを考えてみてはいかがでしょう。
時短勤務に向いている人
- 子供との時間が何より大事
- 仕事よりもプライベートを大事にしたい
- 時間が無くて全てに余裕がなくなるのは嫌
フルタイム勤務に向いている人
- どんどん仕事をして昇進したい
- マイホームのためにとにかくお金を貯めたい
- 最後まで仕事に責任を持てないのは嫌
- 周りの目を気にしながら仕事をするのは嫌
自分の気持ちに優先順位をつけてから考えると、満足度の高い働き方が決められそうです。
また、働いてみて、どうしても自分には合っていない、と感じたらまたその時に働き方を変えたらいい、
とある程度割り切って決断するのも大事かもしれませんね。
まとめ
時短勤務は、子供との時間が確保でき、育児にゆとりをもたらしてくれる素晴らしい制度です。
しかし、勤務時間を短縮することは、減収や、仕事の満足度、周囲との関わりなどの変化をもたらします。
Yさんのように、何も知らずに時短勤務を開始して「こんなはずじゃなかった!」と後悔しないように、
あなたが育児と、仕事を両立していく上で、
何を一番優先したいか、
あなたにとって一番ストレスのない働き方はどちらか、と考えて下さい。
ママのストレスは子供にも伝わってしまいます。
自分軸で自分の気持ちを優先して、あなたに合った働き方が見つかるといいですね。