育児・介護休業法って何?私にも使えるの?正しく知って最大限活用しよう!
働きながら育児をしていくことに、不安を感じていませんか?
そんなあなたと配偶者を助けてくれる法律が、「育児・介護休業法」です。
私の友人の中には、1歳を過ぎても子供の保育園が決まらない、
育児休業を終えて会社に戻ったら居場所がなくなっていた、という経験をした人がいました。
この法律では、1歳を過ぎても子供の保育園が決まらなかった場合の育児休業の延長や、
育児休業取得後の不利益な扱いの禁止が盛り込まれています。
友人たちはこの法律を盾に、育児と仕事の両立の危機を乗り切りました。
もうこの職場では働き続けることができないのか、と諦めてしまう事が無いよう、
不測の事態に備えて、法律の中身をしっかり確認しておきましょう。
「育児・介護休業法」って何?という疑問を、簡単に、わかりやすく紹介していきますね。
「育児・介護休業法」とは?
正式な名称は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といいます。
この法律は、「育児と仕事」、「介護と仕事」の両立ができるようにする労働者の福祉に関する法律です。
働く人が育児や、介護を理由に会社を辞めることなく、
仕事と育児、介護を両立して働き続けられるようにする両立支援制度です。
会社の規模にかかわらず、また、会社に規定がない場合にも、
この法律を根拠に制度を受けることができます。
ここからは、厚生労働省の「育児・介護休業法のあらまし」に沿って、育児に関することについてのみ紹介します。
なぜ、この法律ができたの?
「子供を産んでも働き続けられる」保障がないと、
「キャリアを続けて子供を諦める」か、「キャリアを捨てて子供を産む」かという二者択一になります。
「キャリアを続けて子供を諦める」選択をすると、少子化が進みます。
一方で、「キャリアを捨てて子供を産む」選択をすると、女性が社会で活躍する場が減ります。
会社は優秀な人材が流出するので、一から人材の募集、育成をしなければならなくなります。
ですから、働きながら子を産み育てる人の権利を守り、
ひいては会社も優秀な人材の流出を防ぐことができるという、多方面に優しい法律なのです。
育児休業制度
育児休業制度とは、育児を理由に会社を休むための制度です。
私も1人目の出産の時は、育児休業を取得しました。
育児休業中は、24時間赤ちゃんと一緒にいて、赤ちゃんの成長の喜びをかみしめ、
育児の壁に思い切りぶち当たり、親として成長できたとても大事な時期となりました。
一定期間仕事を忘れ、赤ちゃんとゆっくり向き合う事ができる素晴らしい制度です。
対象になる労働者
・原則として1歳に満たない子を養育する男女労働者
・期間を定めて雇用される者は、下記の条件があります。
- 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること、かつ
- 子が1歳6か月に達する日までに、労働契約期間が満了することが明らかでないこと
パートタイマーなど、1日の労働時間が通常より短い方であっても、
期間の定めのない労働契約によって働いている場合は、育児休業を取得することができます。
この場合、「期間を定めた雇用」、「期間の定めのない雇用」は、
いわゆる、「契約社員」か、「正社員」かという区別です。
対象にならない労働者
・日々雇い入れられる者
1日だけのイベントスタッフなど、1日単位の労働契約で働く、いわゆる「日雇い」労働者です。
・労使協定で定められた一定の労働者
- その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
- 育児休業申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
「上記の労働者」が対象にならないのは、「育児休業を認めない」合理的な理由があると判断されるためです。
入社したばかりの人や、雇用契約の終了が目前の人に、育児休業でお休みをされては、
会社が人材の確保に振り回されてしまうので、会社の雇用の安定性を守らなければなりません。
逆に、私のママ友は、育児休業の対象なのに、「休まれたら困る」、という理由で育児休業の申し出を断られたそうです。
しかし、対象となる労働者に対しては、会社が申請を受理する義務がありますので、
もしも、会社が理解を示してくれない場合、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ相談をしてください。
都道府県労働局雇用環境・均等部(室)は、職場における民事上のトラブルが生じた場合、解決に向けた援助を行う場所です。
対象になる期間
原則として子が出生した日から子が1歳に達する日まで。
ただし下記を満す場合、1歳6か月、最長2年まで延長が可能です。
- 育児休業に係る子が1歳に達する日において、労働者本人又は配偶者が育児休業をしている場合、かつ、
- 1歳を超えても休業が特に必要と認められる場合です。
1歳を超えても休業が特に必要と認められる事由は、2通りです。
- 保育所に入所できない場合。
- 子の養育を行う予定であった配偶者が死亡、負傷・疾病等、離婚等により子を養育することができなくなった場合。
下記の記事では、より詳しく育児休業の期間や、お得な取り方を紹介していますので、参考にしてみて下さい。
育児休業の期間ってどれくらい取れる?知らなきゃ損!お得な取り方教えます
両親で育児休業を取る制度
育児休暇取得率は、厚生労働省の令和元年度雇用均等基本調査において、
女性が83.0%、男性が7.48%と、女性が圧倒的に高いというデータがでています。
しかし、育児は女性だけで行うものではありません。
夫婦が共に育児に専念できるように、パパでも育児休業を取りやすい特例を設けています。
私の友人にも、後述するパパ休暇を利用して、産後の一時期を一緒に休業した夫婦がいました。
産後は、ホルモンバランスや環境の変化で、心と体のバランスをとるのが難しく、
授乳以外の赤ちゃんのお世話を、パパが率先して動いてくれてとても助かったそうです。
パパ・ママ育休プラス
「パパ・ママ育休プラス」は、両親がともに育児休業をする場合に、1歳2か月まで延長される制度です。
要件は次の通りです。
- 配偶者が子が1歳に達するまでに育児休業を取得していること
- 本人の育児休業開始予定日が、子の1歳の誕生日以前であること
- 本人の育児休業開始予定日は、配偶者がしている育児休業の初日以降であること
ただし、1人当たりの育休取得可能最大日数は、産後休業を含め1年間です。
子供の誕生から、1年2か月の間ずっと休み続けられるわけではありません。
パパ休暇
「パパ休暇」とは、父親が、母親の産後休暇の時期に1度だけ休暇が取れる制度です。
つまり、子供が生まれてから、産後8週目以内にとれる休暇です。
通常、育児休業の取得は原則1回までですが、「パパ休暇」を利用した場合には、特別な事情がなくても、再度、育児休業が取得できます。
パパの育児休暇について、重点的に調べたい方は、こちらの記事で詳しく説明しているので、参考にしてみて下さい。
子の看護休暇制度
「子の看護休暇」とは、小学校就学前の子を養育する労働者が、1年に5日(子が2人以上の場合は10日)まで、
- 病気、けがをした子の看護
- 又は、子に予防接種、健康診断を受けさせる
ために、休暇を取得できる制度です。
有給休暇が残っていなくても、子の看護休暇を利用してお休みを取ることができます。
ただし、法律で保障された制度ではありますが、有給にするか無給にするかは各会社にゆだねられているので、
育児休業給付金のような金銭的な保障はありません。
育児休業給付金について詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください。
育児休暇中は給料がもらえないって本当!?年収やボーナスはどうなるの?
「育児・介護休業法」の改正ポイント
2021年1月に改正され、休暇取得の条件がより柔軟になり、労働者が「子の看護休暇」を取得しやすくなりました。
改正前は、
- 半日単位での取得が可能
- 1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない
改正後は、
- 「中抜け」なしの時間単位での取得が可能
- すべての労働者が取得できる(日々雇い入れられる労働者を除く)
「中抜け」とは、朝出社し、一度子の看護休暇のために会社を離れ、再度、仕事に戻ってくる、ことを言います。
ですので、1日に何度も会社との往復をすることなく、希望する時間数で取得できるようになりました。
労働の制限
時短勤務や、残業を制限することによって、
保育園のお迎えを担当したり、子供との時間を確保したりすることが可能になります。
私の以前の職場でも、育児休業の復帰後、時短勤務をしているママがいました。
そのママは時短勤務の一番いいところは、保育園の帰りに病院に連れていける事だと言っていました。
保育園に行き始めると、しょっちゅう風邪などのウイルスをもらってきます。
一度子供が風邪をひいてしまうと、看病のために何日も仕事を休まなくてはなりません。
時短勤務だと、ひどくなる前に受診できて、お休みや時間給をもらわなくても済みます。
所定外労働の制限
- 残業を免除する制度
- 3歳未満の子供がいる労働者が対象
時間外労働の制限
- 1か月で24時間、1年で150時間を超える時間外労働の制限
- 小学校入学前の子供がいる労働者が対象
深夜業の制限
- 午後10時から午前5時までの労働を免除
- 小学校入学前の子供がいる労働者が対象
短時間勤務制度
- 就業規則などで定められている1日の勤務時間の短縮
- 3歳未満の子供がいる労働者が対象
不利益取扱いの禁止
事業主は、育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、所定外労働の制限、所定労働時間の短縮措置等、時間外労働の制限及び深夜業の制限について、その申出をしたこと又は取得等を理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません。
制度がいくら整っても、会社がそれを遵守し、あなたが働き続けられるよう守ってくれなければ本末転倒です。
子育て中は、
- 育児休業等を取得して、本来は自分がするべき労働を他の誰かに請け負ってもらう
- 子供の発熱等により、いつお休みをもらうか分からない
という引け目を会社や同僚に対して持ってしまいがちです。
法律で保障された正当な権利なので、もしも不利益な扱いに疑問を持つことがあれば、我慢しないで、まずは会社と話し合ってください。
まとめ
以上、「育児・介護休業法」について見てきました。
働きながら子供を育てることは並大抵のことではありません。
周りの協力が絶対不可欠です。
周りの協力とは、共に育児を頑張る夫であり、あなたが働き続けやすい環境を作り出す会社であり、その制度自体です。
制度を正しく知って、最大限利用してください。
無理することなく、育児も仕事も思う存分楽しめたらいいですね。