子どもが熱を出したからと有休にできる?育児休暇制度は使えるか?
「子どもが熱を出した!会社に有給休暇の連絡しなきゃ!」
子どもの急な発熱や、怪我って焦りますよね。
仕事も休んで病院に連れて行ったり、看病をしなければなりません。
でも、その有給の申請、ちょっと待った!
有休を消化しなくても、別のお休みを取れるかもしれません。
「育児目的休暇」と「子の看護休暇」の制度、知っていますか?
「育休」のこと?
よく「育休」と言いますが、その意味するところは「育児休業」と「育児目的休暇」の二つがあります。
育児休業は法律に定められています。
対して、「育児目的休暇」は「育児を目的とする休暇」です。
詳しくはこちらの記事をご覧くださいね。
「育児休暇」とは?「育児休業」とは?混同されがちな「育休」について教えます
育児目的休暇って?
配偶者の出産の支援や未就学児の育児のために、「年次有給休暇」とは別に取得することができる休暇制度です。
もちろんママもパパも取得可能です。
育児目的休暇を取得することによって、労働者の評価などに影響はあってはならないとされています。
ただ、育児目的休暇の制度の設置は各企業の努力義務です。
有給か無給にするかも企業の裁量にゆだねられています。
会社によっては、小学校卒業まで、中学校卒業までと、範囲を広げている規定もあります。
一度社内の規定を確認してみると良いでしょう。
もしも規定になく、子どもの行事などで会社を休みたい場合は「年次有給休暇」を利用しましょう。
なお、子どもの発熱やケガなど、子どもの看護のために会社を休みたい場合は「子の看護休暇」を使えます。
こちらに関しては後述します。
育児目的休暇を取得できる対象者
法律では定められていないので、会社の規定によります。
育児目的休暇の例
育児目的休暇に関しては、会社の規定を確認する必要があります。
例としては次のものが挙げられます。
- 妻の出産前の入院準備を手伝うとき
- 妻の出産に伴って育児が必要になったとき
- 子どもの急な発熱のために保育所にお迎えをすることになったとき
- 入園式や卒園式といった行事に参加するとき
子どもの行事に参加する時にも育児目的休暇の規定があれば、申請しやすいですよね。
入園式や卒園式の他にも、親同伴の遠足がある幼稚園もあります。
たとえママが働いていなくても、まだ小さい下の子がいると、上の子どもの行事にママが参加するのが難しい時もあります。
知人のKさんは、上の子が幼稚園の年少さんの時に、親同伴の遠足があり、まだ授乳中だった下の子を抱っこして参加していました。
ママは一日中抱っこで、お弁当の時間や休憩の時間に授乳ケープを利用しながら授乳。
上の子との遊びに参加し、へとへとになって帰宅したと話していました。
しかも疲れて帰った後も、夕飯を作ったり、子どもの世話ももちろんしなければならないのです。
こんな時にも、パパが育児目的休暇が取得できると事前に分かっていれば、ママの負担も減って助かりますよね。
育児目的休暇の申請方法
育児目的休暇を取得する日が事前に分かっている場合は
「育児目的休暇申出書」(もしくはそれに類する社内の書類)に記入して、勤務先に提出することになります。
しかし、当日に電話などで連絡をしての取得(子どもの急な発熱など)も認められており、
その場合は、後日「育児目的休暇申出書」を提出することが定められていることが多いようです。
勤務先の規定をよく確認しておくとよいでしょう。
子の看護休暇
育児目的休暇の似た言葉に「子の看護休暇」があります。
こちらは法律で定められており、労働者は「子の看護休暇」を取得する権利を有するとされています。
未就学児の子どもを持つ労働者に認められ、
子ども一人につき、1年に5日まで(二人以上の場合は1年に10日まで)
病気、けがをしたこの看護、または予防接種・健康診断を受けさせるために
取得できます。
法で定められているので、対象の労働者が「子の看護休暇」を申し出た場合、事業主はそれを拒むことはできません。
ただし、この制度も有給にするか無給にするかは各企業にゆだねられています。
もし無給(欠勤)にする場合は、労働者の査定に響かないように、通常の欠勤とは別にして取り扱うこととされています。
子の看護休暇を取得できる対象者
正社員、契約社員、パートタイマー、アルバイトなど、ほとんどの人が取得できます。
これは、パートタイマーで働くママたちにとって心強いですよね。
ただし、日雇い労働者と、労使協定で取り決めた下記の内容に該当する労働者は対象外です。
- 1週間あたりの所定労働日数が2日以下の従業員
- 雇用期間が6ヶ月に満たない従業員
「子の看護休暇」取得の例
「子の看護休暇」は「育児目的休暇」とは違って、休暇の目的が「子の看護」の場合のみと定められています。
具体的には、下記の場合があります。
- 子どもの急な発熱
- 子どもの怪我
- 子どもの予防接種
- 子どもの健康診断
「看護」というと、「看病」するイメージがありますが、実際は予防接種や健康診断にも使えるのです。
小さい頃は、特に0歳児の予防接種はたくさんあり、半年間で15回以上にもなります。
他に、乳幼児健診も1歳までに2回以上と1歳半、3歳のタイミングで、地域の健康課からの案内に従って受けなければなりません。
そんな時に有給休暇を使わずに「子の看護休暇」を使えるのは、とても助かりますよね。
申請方法
育児目的休暇の取得と同じく、取得する日が事前に分かっている場合は
「子の看護休暇申出書」(もしくはそれに類する社内の書類)に記入して、勤務先に提出することになります。
しかし、当日に電話などで連絡をしての取得も認められています。
その場合は、後日「子の看護休暇申出書」を提出することが定められていることが多いようです。
また、対象の子どもが怪我や病気にかかっている事実、
または病気の予防のために必要な世話を行うこと(予防接種や健康診断)を証明する書類の提出を求められることがあります。
法律では、病気の重さの程度などは定められていないので、風邪などでも「子の看護休暇」は申請できます。
風邪だと医師の診断書はもらえないこともあるかと思います。
その際は「薬の領収証等」で確認するなど、柔軟な対応をしてもらえるようです。
子どもの発熱は急なので、申請に必要な書類など、あらかじめ社内の規定を確認しておきましょう。
取得できる単位
1時間、2時間など、時間単位でも取得が可能です。
ただし、端数は切り上げられます(2時間半取得しても3時間取得したことになります)。
例えば、所定労働時間が7時間半であれば、一日の労働時間は「8時間」としてカウントされます。
①一日単位で休む場合
休める日数は合計5日(実質合計37時間半の休暇)。
②1日につき5時間休む場合
1日につき3時間(2時間半は繰り上げになるため)、子の看護休暇に取得できる時間が残っていくので
1日5時間の休暇を5日間取得したとすると、あと15時間取得(3時間×5日間)できることとなり、
休める日数は合計8日間(実質40時間の休暇)。
取得の仕方によって、取得可能時間が大幅に変わりますので、注意が必要です。
法律では「中抜け」(仕事中に抜けてまた仕事に戻ること)は定められていませんが、
会社の規定で「中抜けが可能」と法律を上回る規定を設けても良いことになっています。
予防接種を受けられる時間帯が決まっている病院も多くありますので、
「中抜け」が認められていると、仕事が忙しくても取得しやすいですね。
厚生労働省「子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!」
まとめ
子どもの発熱のために会社を休む時に取得できる休暇は「育児目的休暇」もしくは「この看護休暇」があります。
育児目的休暇
- 法律で制定されておらず、会社に規定がなければ取得できない
- 取得できる対象者は会社の規定による
- 有給か無給かは会社の定めによる
- 子どもの発熱等の他、行事参加のためでも取得できる
子の看護休暇
- 法律で定められている
- ほとんどすべての労働者が取得できる
- 有給か無給かは会社の定めによる
- 子どものけが、病気、病気の予防にかかわる場合のみ取得が認められている
どちらも普段はあまり意識しない休暇制度かもしれません。
ですが、いざという時に思い出して使えるように、あらかじめ会社の規定を確認しておくことをお勧めします。
そうすれば焦ることなく、お子さんの看病等に専念できますね。