育児中の暴力はしつけではありません!暴力に頼らない穏やかなママでいられる方法は?
子どもが言うことを聞かないと、子どもを叩いてしまうことはありませんか。
いけないことだと頭ではわかっていても、イライラしていると手が先に出てしまうこともあるかもしれませんね。
しつけのためには仕方がないと思う場合もあるでしょう。
でも本当はママだって、いつも穏やかに笑顔で過ごしたいですよね。
どうしたら暴力に頼らずに、育児をすることができるのでしょうか。
今回は、育児と暴力について詳しくお伝えしていきます。
暴力はしつけではありません!
しつけと暴力の違い
- 何度言っても言うことを聞かない
- 痛みを与える方が、子どもが理解する
- 自分も暴力を受けて育てられた
このような理由から、暴力はしつけのためにやむを得ないという考え方が、今も根強く存在しています。
「しつけのためだった」という理由で、親が子どもに暴力をふるい、悲しい事件がおこることもあります。
しかし、「しつけ」と「暴力」は、まったく別のものです。
しつけと暴力の違いは一体何なのでしょうか。
しつけとは?
しつけは、子どもの自立と社会性をはぐくむための行為です。
- 子どもの発達や性格に応じて
- 言葉や、大人が子どもにお手本を見せるなど非暴力的な方法で
- 子どもの気持ちに寄り添いながら
繰り返し、根気よく行う必要があります。
しつけを行うことで、子どもは大人から愛されていると感じ、少しずつ自立していきますよ。
暴力とは?
暴力は、子どもの行動を力によってコントロールする行為です。
- 感情的に
- 子どもの身体と心を傷つける方法で
- 上から一方的に
力づくで子どもを抑えつけようとします。
子どもは人格を否定されることにより、問題行動などにつながりますよ。
たとえしつけだとママが思ったことも、
子どもの身体に何らかの苦痛を与え、又は不快感を意図的にもたらす行為(罰)は、体罰に該当し、法律で禁止されています。
児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)
(親権の行使に関する配慮等)
第十四条 児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、その適切な行使に配慮しなければならない。
2 児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪その他の犯罪について、当該児童の親権を行う者であることを理由として、その責めを免れることはない。
国連児童の権利委員会の一般的意見においては、「どんなに軽いものであっても、有形
力が用いられ、かつ、何らかの苦痛または不快感を引き起こすことを意図した罰」(8
号 11 項)と定義されており、具体例として「手または道具――鞭、棒、ベルト、靴、
木さじ等――で子どもを叩く、蹴ること、子どもを揺さぶったり放り投げたりする、引
っかく、つねる、かむ、髪を引っ張ったり耳を打ったりする、子どもを不快な姿勢のま
までいさせる、薬物等で倦怠感をもよおさせる、やけどさせる、または強制的に口に物
を入れる(たとえば子どもの口を石鹸で洗ったり、辛い香辛料を飲み込むよう強制した
りすること)など」(同項)が示されている。
繰り返し子どもに暴力をふるうことは、児童虐待になります。
暴力を正当化せずに、どうしたら暴力に頼らずに育児ができるのか、一緒に考えていきましょうね。
しつけに暴力がいけない理由とは?
どうしてしつけに暴力はいけないのでしょうか。改めて考えてみましょう。
ママへの悪影響
だれだって、暴力に頼りたくはありませんよね。
子どもを叩いた後は、激しく後悔し、自分を責めることになると思います。
結果的にママの自己肯定感が下がり、「自分はダメな母親だ」「育児は苦しい」と自己嫌悪に苦しむことになります。
結果的にノイローゼやうつ病の原因になってしまいますよ。
参考記事:もう自分を責めないで!!育児中のイライラを解消し、自己嫌悪から解放される方法
一方で、暴力はエスカレートする可能性があります。
暴力によって子どもが言うことを聞いた経験をしたことにより、
「暴力によって子どもを従わせることができた」という征服感で脳が快感を覚えることがあるんです。
暴力で子どもを支配するという歪んだ感情から、ママ自身が抜け出せなくなります。
結果的に、子どもへの暴力へ依存することで、ストレスを発散するようになるんです。
子どもへの悪影響
子どもは、暴力を受けたことにより恐怖心を抱くでしょう。
「もう叩かれたくないから」という理由で、一時的に大人の言うことを聞くかもしれません。
暴力を受けた子どもは心が萎縮し、自分の気持ちを素直に出せなくなります。
常に周りの顔色を伺うようになり、自己肯定感は育ちません。
また、子どもは「自分の気持ちを相手に伝えるには、暴力をふるえばよい」ことを学びます。
大人から暴力を受けたように、周りの人に対して暴力をふるい、他人を威圧することで自分を表現しようとします。
暴力を受けた子どもが大人になってから子どもに暴力をふるう傾向があるのはそのためです。
暴言や無視する行為は?
暴言を吐いたり、子どもを無視することはどうなのでしょうか。
あなたがしつけだと思って行った行為も、客観的に見て子どもの心身を傷つける場合は虐待にあたります。
以下が児童虐待の定義です。児童虐待は4種類に分類されています。
身体的虐待:殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など
性的虐待:子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など
ネグレクト:家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など
心理的虐待:言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など
暴言や無視は心理的虐待にあたり、子どもの心を深く傷つけます。
叩いていないから問題ないと思わずに、子どもに暴言を吐くことはやめましょう。
どうして暴力をふるってしまうの?
どうして暴力をふるってしまうのでしょうか?
原因を考えてみましょう。
忙しくて心と時間に余裕がない
忙しくて余裕がないと、子どもが言うことを聞かないとイライラしてしまいますね。
子どもと向き合う余裕がないので、子どもの気持ちに耳を傾けることができなくなってしまいます。
子どもの気持ちに寄り添わずに、「早くしなさい!」と暴力をふるってしまうかもしれませんね。
ストレスがたまっている
ストレスがたまり疲れていると、小さなことでイライラしてしまいます。
子どもをしつけることはママも心身共にパワーを使いますね。
その気力がないと、暴力で子どもを押さえつけようとしてしまいます。
ワンオペ育児など、孤独である
暴力は、ママと子どもが2人きりのときにおこることが多いです。
誰かが見ていると思えばママも冷静でいられますが、
孤独の中では感情に歯止めが聞かなくなり、暴力に頼りやすくなります。
パパの協力やママ友の支えがなく、孤独なママは、暴力をふるいやすい環境にいるんですね。
完璧主義である
子どもはママと同じ生き物ではありません。
子どもはたくさんの失敗から色々なことを学び、大人になっていきます。
完璧主義のママは、子どもの失敗や挑戦、ママと異なる考えを理解することができない場合があります。
コップの水をこぼしたり、自分で靴を履きたくて挑戦している子どもに対してイライラし、暴力をふるってしまうことがあります。
子どもの発達過程
0歳の赤ちゃんは、夜泣きをすることがあります。
夜泣きの正確な原因は分かっておらず、夜泣きの時期はママが夜中に泣き叫ぶ赤ちゃんに対応しなければいけませんね。
2歳頃の子どもは、自我が発達しイヤイヤしたり、何でも自分でやりたい気持ちが強くなります。
このように、子どもの発達過程により、ママが精神的に追い詰められやすい時期があるんです。
イライラすることが多くなるため、暴力に頼りやすくなります。
暴力を受けた経験がある
暴力を受けた経験のある人は、「自分は絶対に暴力をふるいたくない」と頭では強く思っています。
しかし、暴力により支配されてきた過去を持つママは、暴力に対して嫌悪感を抱く一方で、
暴力で子どもを支配できることを脳にインプットしているんです。
一度子どもに暴力をふるってしまうとエスカレートしやすく、注意が必要ですよ。
暴力に頼らずに育児をするにはどうすればいいの?
どうすれば暴力に頼らずに育児をすることができるのでしょうか。
原因を踏まえて解決策を考えましょう。
時間に余裕を持つ
仕事に復帰したばかりなど、忙しいスケジュールで過ごしていると、小さなことにイライラしやすくなりますね。
子どもはママと同じようにテキパキ動くことはできません。
ママ自身が時間に余裕を持ち、スケジュールを詰め込みすぎないように心がけてみてください。
忙しいと感じる場合は、
- パパと家事・育児について分担を見直す
- 便利なサービスやグッズなどを活用する
- ファミリーサポート制度やベビーシッターなどの子育てサポートを利用する
など考えてみましょう。
リフレッシュの時間を持つ
適度に自分の時間を楽しみ、気分転換することは、笑顔で育児をするためにとても大切なことです。
毎日忙しいと思いますが、育児のスキマ時間やパパの協力を得て、リフレッシュする時間を作るようにしましょう。
- 美味しいスイーツを食べる
- ゆっくりお風呂に入る
- 散歩をする
など、あなたがリフレッシュできることを考えてみてくださいね。
ママの心が満たされることで、子どもへの愛情も増し、小さなことでイライラすることを防ぐことができますよ。
こちらにも、ママの息抜きやリフレッシュについてまとめたので、参考にしてくださいね。
お疲れママの育児生活がちょっと楽しくなる!おすすめリフレッシュグッズを紹介します
頼れる人や活用できるサービスなどを利用する
パパが仕事で忙しいなどの理由で、ワンオペ育児をせざるを得ない場合もあるでしょう。
そんなときも一人で抱え込まずに、頼れる人やサービスの利用を検討してみてください。
一人ではない安心感を得られると、ママも子どものことを大切に感じられますね。
こちらの記事にワンオペ育児の脱出方法についてまとめたので、参考にしてくださいね。
育児や家事に対するハードルを下げる
育児をしていると、どうしても思い通りにいかないこともありますね。
できなかったことに目を向けてばかりいると、イライラしたり自己嫌悪になります。
育児中は理想のハードルを下げて、ちょっとくらい部屋が散らかっていても大丈夫!とおおらかになれるといいですね。
子どもの発達過程を理解する
特にはじめてのお子さんの場合は、子どもの発達過程や対応が分からずイライラしてしまうかもしれません。
子どもの発達には個人差があること、発達に応じた対応方法があることを理解すれば、イライラしたり戸惑うことも減るでしょう。
子どもの成長に関する記事もまとめていますので、参考にしてくださいね。
ママの気持ちを言葉で伝える
子どもが言うことを聞かないとき、暴力で子どもを黙らせてしまうことが一番簡単かもしれませんね。
でも、暴力を受けた子どもは、なぜ怒られたのか理解できません。
大変かもしれませんが、ママは根気強くやっていいことと悪いことを言葉で伝える必要があります。
1~2歳くらいになると、少しずつ言葉の意味やママの気持ちを理解できるようになりますよ。
子どもの目をみてはっきりと「危ないからだめだよ」「ママはこう思うよ」と伝えるようにしましょう。
少しずつ子どもは分別がつき、言葉で気持ちを伝えることを学びます。
イライラする気持ちと上手に付き合う
暴力をふるってしまうときは、怒りの感情が高まり、感情的になっているときだと思います。
イライラしているときこそ冷静になり、落ち着くように心がけましょう。
イライラすると感じた際は、
- 目を閉じて深呼吸する
- その場を離れる
- イライラした感情を紙に書きだす
などが、効果的と言われていますよ。
こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
アンガーマネジメントを育児に取りれてイライラに振り回されないママになろう!
暴力がやめられない!そんなときは迷わず相談してください
一度暴力に依存してしまうと、どんなにやめたいと思っても自分の力だけではやめることは難しいかもしれません。
むしろ、暴力がエスカレートしてしまったり、ママ自身の精神状態が悪化してしまいます。
育児に関する相談窓口はさまざまですが、子どもに対する暴力に関しては、児童相談所に相談してください。
児童相談所は、各都道府県に設けられた子ども(18歳未満)に関する専門の相談機関です。
ママや家族の問題解決のために、必要な支援やサポートが受けられますよ。
必要と判断された場合は、子どもの一時保護を行うこともあります。
どうしたら暴力に頼らずに育児ができるか、サポートを受けながら一緒に考えていくことが大切ですよ。
こちらの記事にそのほかの育児相談窓口についてまとめました。
一人で抱え込まずに気軽に相談してみてくださいね。
育児放棄したくなるくらい追い詰められたとき相談できるところはある?
育児の相談がLINEでできる?!悩むママへのおすすめアプリも!
暴力のない社会を目指しましょう
大人から子どもへの暴力が原因でおこる事件がニュースなどで報道されると、悲しい気持ちになりますね。
社会全体が子どもやママに優しい社会になれば、暴力による悲しい事件は防ぐことができるかもしれません。
ベビーカーを押すママや、電車の中のお子さんを、どうか優しい目で見守ってくださいね。
もし、あなたの身の回りに、暴力や虐待を受けているかもしれない子どもを発見したら、児童相談所に連絡するようにしてください。
児童虐待の防止等に関する法律にも、児童虐待を受けたと「思われる」児童を通報義務の対象としていますよ。
児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)
(児童虐待に係る通告)
第六条 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。
通告・相談は匿名で行うこともでき、相談内容に関する秘密は守られます。
もし虐待だと思って通報して間違いだった場合も、通報者がその責任を問われることはありません。
気になることがあるときは、迷わず通報や相談をしてくださいね。
まとめ
子どもを自立に導くためにしつけをすることは、根気のいる大変なことです。
今回紹介した方法を参考に、できることから取り組んでみてくださいね。
すべてのママが、悩みながら育児をしています。
完璧なママなんてひとりもいません。
ときにイライラしたり、泣きたくなることもあるでしょう。
そんなときは、どうか一人で抱え込まずに相談するようにしてください。
みんながあなたの味方です。
みんながあなたを見守っています。
暴力に頼らずに育児ができる社会を、一緒に作っていきましょうね。